北海道地すべり学会

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お知らせ

平成13年度第3回(通算36回)研究小委員会の報告


日時:平成14年3月9日(土曜日),午後3時30分から
会場:札幌東急ホテル羽衣の間

話題提供
井口 隆(独立行政法人防災科学技術研究所)
「地すべり地形判読の現状と課題」

地すべり地形判読・マッピングに関する各機関・各支部の取り組み,判読・表示上の問題点,地すべり再活動の事例および危険度評価などについて講演していただきました。判読・表示上の問題点として当委員会でも検討している判読・表現の個人差のほか,判読精度の評価,判読者が少ないこと,判読には経験が必要でかつ技術の継承が難しいことなどが指摘されました。地すべり再活動の発生場としては内部の微地形が良く残っている,斜面脚部が河川よって侵食されている,後方崖が認められる,連続する地すべり群の外側に位置する,といった特徴を有する地すべり地形の斜面が重要であることが示されました。また,危険度評価として階層分析法という計画分野でしばしば用いられている手法による評価事例が紹介されました。

事例紹介

第2回委員会で要望のあった「北海道における最近の豪雨による斜面災害」をテ−マとして行いました。豪雨あるいは融雪と降雨に関わる事例として,以下のような6件が紹介されました。
1) 雨宮和夫(防災地質工業M)):仁世宇高速地すべりと降雨
2) 石丸 聡(北海道立地質研究所):稲里ア−スフロ−における降雨と変動状況
3) 田近 淳(北海道立地質研究所):1999年7月北海道北部で発生した斜面災害および2000年5月東静内のスライド・フロ−
4) 牧野勇治(中神土木設計M):2001年9月14日北見市南部の斜面崩壊
5) 伊藤陽司(北見工業大学):2001年10月国道333号斜面崩落の降雨状況
6) 戸田英明(Mド−コン):無意根山地すべりの発生と降雨・融雪状況
時間が不足気味で,充分に討論できませんでしたが,それだけ降雨に起因した斜面災害の発生事例が多く,多くの方がそれらの調査・対策に関わっており,今後,事例を精査し特徴を取りまとめる機会を設けなければならないと感じました。4月19日に開催される平成14年度の支部研究発表会において,事例紹介されたいくつかが発表されることになっています。

報告・討議

1)平成13年度活動報告および平成14年度活動計画について
2)今後の作業について
滝川−吉野地域内から・滑落崖や変動地塊の輪郭が明瞭で,運動タイプなども比較的容易に判断できる流域,・フロ−タイプの斜面が多く,滑落崖や変動地塊の末端域が識別し難い流域,・滑落崖様の崖地形は明瞭であるが,変動地塊の輪郭が把握し難い山麓斜面を各自が判読し,判読結果を図示するとともに,地すべりタイプや活動状態の区分を含む判読認定基準・表示基準を明示する作業に着手することにしました。