ご質問の前提条件として「初期値が2000μで数日後に1000μになった」と解釈して検討します。この様な変化は、パイプ歪計の製品としての不良か、地盤の変位に追随した値を示した場合のどちらかですが、この質問の条件のみでは正確な回答を得ることはできません。
幾つかの可能性を考慮して検討します。
埋設前からの製品の不良の場合、あるいは埋設時に破損(絶縁不良)した可能性があります。
これらの測定値は地すべり変動とは関係のない“値の迷走”と評価され、以降は測定不能となります。
これは、設置前後のパイプ歪計のチェック(参考資料Q1-1)を行うことで判定できる場合があります。
パイプ歪計の埋設時に観測孔を充填した砂等が、地盤に“なじむ”過程の人為的変位が考えられます。
この場合は観測孔に地下水が流入・逸水する区間や地下水面が変動する区間で発生する可能性が高くなります。
以後の測定は初期値を1,000μとして観測します。
浅層での地すべり変動とは無関係の表層変位が発生した場合や、地盤の応力解放や吸水膨張に伴う孔壁の変形等が考えられますが、この場合は該当する深度のコアを観察することで原因を推定できます。
いずれにせよ、歪ゲージが適正に作動しているかどうかを以降の観測(迷走・安定・累積のパターン)で確認する必要があります。
また、パイプ歪計を埋設する際の設置前後の作動確認を適正に行うことで、原因が特定できる可能性が高くなります。