北海道地すべり学会

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質問2-1に対する回答 (質問:アンカー接地面が風化岩や軟弱土で施工時のアンカー緊張により周辺地盤の変状が懸念される場合、健全な施工ができるようにどのようなことに配慮すれば良いでしょうか?)

 

アンカー緊張に伴う周辺地盤の変状としては、「アンカー設置面の沈下」あるいは「アンカー上方地盤の盛り上がり」等の現象が想定されます。

このような変状が懸念される場合に注意すべき方法について検討します。

 

 1.アンカー荷重付与によるN値の確認

アンカー荷重付与による受圧板直下の地盤の許容支持力度[参考資料Q2-1(1)]について、N値を目安として確認しておくことが必要です。(特に独立受圧板の場合。) この照査により、背面地盤の耐荷力の有無を判断できます。

設計者によっては「設置面については N=10程度以上 の地盤強度が必要」との意見もあります。設計アンカー力の大きさや地盤強度の程度によって総合的な判断が必要となります。

 

 2.受働土圧の確認

のり肩付近にアンカーが設置されるケースで背面土が土砂の場合は、アンカー荷重に抵抗する受働土圧(Pp=γ・H^2・Kp/2;クーロン系など) [参考資料Q2-1(2)]が確保されているかどうかの確認が必要です。

その受働土圧の作用領域内(θ=45-φ/2)に構造物(家屋)があり、受働抵抗圧が不十分な場合は、傾斜、変形などの変状が生じる場合があります。

 

 3.受働土圧の確保について

受働土圧の確保が難しい場合は、受圧板を大きくする、アンカーの設置位置をのり肩から下方にシフトする(土圧作用高を大きくする)などして、受働抵抗を大きくするような計画[参考資料Q2-1(3)]が必要になります。 

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