北海道地すべり学会

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質問Q1-4に対する回答(質問:北海道ではどのような地質の斜面で地すべりが起こりやすいのでしょうか?)

 

地すべりが発生するメカニズムについて様々な要因がありますが[参考資料Q1-4(1)]、以下に地質条件の要因として,技術委員会で実施したアンケートに基づいて解説します(1)。
北海道で発生した地すべりの基盤地質について、@基岩の地質時代は新第三紀が70%程度を占め、古第三紀と白亜紀がそれぞれ10%台、先白亜紀が5%となっています。A基岩の地質性状(岩種)は,泥岩・頁岩が50%を占め、これにその互層を含めた砕屑岩全体で約70%に達しています。次いで火山砕屑岩が20%を占め,蛇紋岩や緑色岩などの特殊な岩種はあわせて約5%程度でした。

新第三系泥岩・頁岩などの堆積岩が分布する地帯は北海道内の地すべり地帯として良く知られており、アンケート結果にもそれが反映されています。一方、地質区分では蛇紋岩−緑色岩地帯も北海道の地すべり地帯に含められていますが(1),(2)、アンケート結果では比率が少ない結果となりました。これは蛇紋岩−緑色岩の分布域が狭く、地すべりの調査対象となることが少ないことや、道路・ダムなどの保全対象が施工上問題の多い蛇紋岩−緑色岩を回避するためであると考えられ、同様に要注意の地質であるといえます。その他要注意の地質として,熱水作用や温泉などによる変質作用の発達する変質岩があります。

図1 基岩の地質時代

図2 基岩の地質(岩種)

(1)地すべり学会北海道支部(2012):北海道の地すべり2012, 288p.
(2)地すべり学会北海道支部(1999):北海道の地すべり99, 210p.

 

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