技術委員会で実施したアンケート結果(1)では、地すべり調査におけるすべり面の推定方法は、以下に示す方法が一般的となっております。
・地層分布・性状・地形などの特徴に基づき推定する場合(22%)
・ボーリングコア観察により決定する場合(31%)
・パイプ歪計や孔内傾斜計などの観測結果に基づいてすべり面を設定する場合(31%)
・標準貫入試験によるN値分布の傾向から推定する場合(16%)
ボーリングコア観察は、確認された地層の分布状況(未固結土層と基盤岩類との境界、岩盤の風化部と新鮮部の境界など)や、すべり面が想定される位置での鏡肌(スリッケンサイド)や挟在する粘土の存在などがすべり面を設定する場合の重要な特徴になります[参考資料Q1-5(1)]。
アンケート(1)(2)では、地すべり調査ですべり面粘土や痕跡を確認した割合は、H6アンケートで33%、H19アンケートで17%となっており、すべり面粘土および擦痕が未確認であるケースが全体の80%以上にも達し、増加傾向にあるという懸念すべき集計結果となっています。したがって、的確なボーリングコア観察に基づいたすべり面粘土や痕跡を確認することが重要です。
(1)地すべり学会北海道支部(2012):北海道の地すべり2012, 288p.
(2)地すべり学会北海道支部(1999):北海道の地すべり99, 210p