北海道地すべり学会

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質問Q1-7に対する回答(質問:地すべり調査で行われる観測孔を用いた水位観測では、どのような点に留意すれば良いでしょうか?)

 

地下水調査の留意点などについて解説します。 地すべり調査における地下水位観測に用いる調査孔は、以下の2つに大別されます。

1.塩ビ製のパイプ歪計または保孔管を挿入した調査孔を地下水位観測孔として併用する場合
2.別孔をすべり面深度付近まで掘削し、保孔管を設ける場合(地下水観測専用孔)

このうち1について、パイプ歪計は孔壁との隙間を砂詰めにより設置するため、水位観測孔を併用でき、調査費用が安価になるという長所があります。この反面、すべり面を掘り抜いた調査孔による水位観測となるため、すべり面に作用する地下水を正しく評価できないことが懸念されます。 この点を解決する方法として、すべり面周辺のみをストレーナー加工とする仕上げは有効な対応方法であると考えられますが、確実な遮水をどのように行うかの課題が残ります。

すべり面にかかる間隙水圧を確実に測定するために、2に示される専用孔を設け、すべり面に作用する地下水位を確実に観測する層別地下水測定が望まれるところです。

地すべり解析における“間隙水圧”は、一般に水位観測によって得られた最高水位を用いることが多く、これをすべり面に作用する圧力水頭として水圧換算しています。地すべり地内においては複数の地下水流動が存在することがあり、すべり面に作用する地下水を調査段階で見極めることが重要です。

観測孔の違いによる観測水位の概念図を[参考資料Q1-7(1)]に示します。 地すべり学会北海道支部技術委員会として、観測孔を用いた地下水調査を確実に実施する際の手順・手法を[参考資料Q1-7(2)]のとおり提案します。

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